衝撃の経験から学ぶ、ITエンジニアとしての戦略

25年前、私はアミューズメント施設を展開する企業で総合職として働いていました。社内試験に合格してアシスタントマネージャー(副店長)に昇進したばかり。九州の第一店舗立ち上げのために奔走していた頃の話です。

九州出身の私の最初の配属先は秋田県でした。転居を伴う異動が当たり前の会社で、「この会社でキャリアを積んでいく」と思って働いていました。

その矢先に、ある衝撃的な人事事件を目撃しました。

25年前に起きた人事事件

マーチャンダイザー(仕入れ担当・本社では課長と同等の立場)で勤続4年の女性社員がいました。彼女に対し、人事業務を請け負っていた外部企業の事務管理SVが、退職届を書かせていたのです。いわゆる諭旨解雇です。

理由は誤発注のミスと勤怠の遅延でした。社長が調べて発覚し、全容が明らかになりました。

処分の内容はこうです。彼女の上司であるエリアマネージャー(部長と同等)は「監督責任を怠っているので懲戒解雇すべき」という意見でしたが、社長の判断で人事部長が諭旨解雇に。ただし人事部長が自ら退職届を提出したため、その処分は実施されませんでした。外部企業は即時契約解除。監督する課長職には1年間10%の給与カット。同期が社内調査に参加していたので詳しく様子を聞けましたし、全社的に長文の報告書も公開されました。

この事件が私に突きつけたもの

これを見て、私は深く考え込みました。

誤発注のミスと勤怠の遅延——それが諭旨解雇につながる。外部企業のSVが、会社に何の相談もなく退職届を書かせた。エリアマネージャーは「懲戒解雇すべき」と言った。昇格すればするほど、自分の直接的なミスではない「部下や請負先のミス」の責任を負わされるリスクがある。

そして何より、「この会社で働き続けていく自信を失った」というのが正直なところでした。

転居を伴う異動があり、最初の配属先が秋田だった。九州の立ち上げに奔走していた。それ自体は仕事として受け入れていました。でもこの事件を目撃して、「どれだけ頑張っても、組織の論理に飲み込まれる可能性がある」という現実が目の前に突きつけられた気がしました。

私はその後、この会社を退職しました。

「手に職をつけたい」——エンジニアを選んだ理由

退職を決めたとき、「次は手に職をつけたい」と思いました。組織の論理や人事の判断に左右されにくい、自分のスキルで稼げる仕事をしたい。その思いがITエンジニアという選択につながりました。

あれから21年。SES・派遣エンジニアとして、さまざまな現場でインフラを支えてきました。昇進や出世とは距離を置きながら、「えらくならずに長く稼ぐ」ための知恵を積み上げてきました。

あの事件がなければ、今の自分はなかったと思います。

このシリーズで伝えること

組織の理不尽に消耗せず、長く稼ぎ続けるための具体的な方法を、実体験をもとに書いていきます。

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