AIを「最強の相棒」にして自分を守る防衛型スクリプト3選——処世術を技術で実装する

📌 この記事の対象読者 Linuxの基本コマンド(ls, grep, ps等)がわかるインフラエンジニアの方向けです。「コードは書けないけど何をやっているかは読める」レベルを想定しています。Ansibleについては記事内で補足します。

前回の記事「社内政治で消耗しない7つの処世術」では、責任の境界線を引く、エビデンスを残す、有限な時間を守る……といったマインドセットをお伝えしました。

今回はその実践編です。これらの処世術を、「技術(スクリプト)」で自動化して実装する方法を3つご紹介します。

「スクリプトを書く時間もエネルギーもない」と思った方、ご安心ください。今やChatGPTやClaudeといったAIに「こういうものを作りたい」と相談すれば、土台となるコードを数分で出してくれます。私自身、今回の記事もGeminiと壁打ちしながら整理しました。私たちがやるべきことは、コードを暗記することではなく、「自分を守るために、AIに何を作らせるか」を設計することです。

▶ シリーズ第1回:衝撃の経験から学ぶ、ITエンジニアとしての戦略

▶ シリーズ第2回:「えらくならずに65歳まで稼ぐ」設計図——SES・派遣エンジニアの現実的な戦略

▶ シリーズ第3回:昇進しないと決めた人が、社内政治で消耗しないための7つの処世術

防衛型スクリプト①:Diff自動保存スクリプト(処世術①③に対応)

処世術①「責任の境界線を最初に引く」と、処世術③「メールと議事録をエビデンスとして活用する」——この2つを自動化します。

何のためのスクリプトか

サーバーの設定変更やパッチ当ての際、作業前と作業後の状態を自動で比較(Diff)し、問題のない証拠ログを自動生成してSlack等に投稿するスクリプトです。

後から「アプリが動かなくなった!お前のせいだ!」と理不尽に責められても、「作業前後のエビデンスログはこちらです。インフラ側は正常です。アプリ側をご確認ください」と、感情論を挟まずに一瞬で境界線を引けます。

AIへの頼み方(実際に私が試したプロンプト)

Linuxのパッチ作業前後で、稼働中プロセス一覧とネットワークのLISTENポートの差分(Diff)を取り、Markdown形式でファイルに出力するPythonスクリプトを書いてください。出力ファイル名には日時を含めてください。

このプロンプトをGeminiに投げたところ、約3分で土台となるコード(約60行)が出てきました。内容を確認して、自分の環境に合わせて通知先(Slackのwebhook URL等)を書き換えるだけで使えます。

💡 「Diff」とは:2つのファイルや状態を比較して「どこが変わったか」を表示する機能です。Linuxの標準コマンドにも「diff」があります。作業前→作業後の変化を記録しておくことで、「何も変えていないのに何かが壊れた」という理不尽な責任転嫁を防ぎます。

防衛型スクリプト②:障害一次切り分けスクリプト(処世術②⑤に対応)

処世術②「会議での発言量を戦略的にコントロールする」と、処世術⑤「感情的な議論から早期離脱する」——深夜の緊急障害対応ほど、これが大事な場面はありません。

何のためのスクリプトか

システム異常を検知した際、ただ「エラーです」と通知するのではなく、自動でログを解析し「原因の候補」と「対応手順書のURL」をセットで通知するスクリプトです。

深夜に上司や顧客から「どうなってるんだ!?」と感情的に詰められる会議で、慌てて発言する必要がなくなります。「すでにスクリプトが一次切り分けを完了し、手順通り復旧中です」という事実だけを淡々と報告できます。

AIへの頼み方

シェルスクリプトで、/var/log/syslogを監視して特定のエラーキーワード(例:’OOM’や’connection refused’)を検知したら、そのログの前後30行を抽出してSlackのWebhookに通知するスクリプトを書いてください。通知メッセージにはタイムスタンプと検知キーワードも含めてください。

このスクリプトに、対応手順書のURLを一緒に通知する処理を追加すると完成です。AIに「通知メッセージにURLを含めるにはどう修正すればいいですか?」と追加で聞けば、数秒で答えが返ってきます。

防衛型スクリプト③:定型作業のセルフサービス化(処世術⑦に対応)

処世術⑦「断る技術を持ち、有限な時間を守る」——他部署からの「アカウント発行してください」「環境を再起動してください」という細かい雑務は、断りにくいですが確実に時間を奪っていきます。

何のためのスクリプトか

依頼の多い定型作業をスクリプト化し、相手がSlackのコマンドやボタン一つでセルフサービスで実行できる仕組みを作ります。

「忙しいので断る」ではなく「その作業、ボタン一つでできるようにしておきましたので、次からはそちらでどうぞ」——スマートに自分の時間を守れます。

AIへの頼み方

Ansibleを使って、Linuxサーバーにユーザーを作成する自動化プレイブックを書いてください。変数としてユーザー名とグループ名を受け取り、ユーザー作成後にSlackに完了通知を送る処理も含めてください。
💡 「Ansible(アンシブル)」とは:複数のサーバーに対して、設定変更やソフトウェアインストールなどの作業を自動で実行するツールです。「このサーバーをこういう状態にしてください」という指示書(プレイブック)を書いておくだけで、手作業なしに実行できます。インフラ業務の自動化では定番のツールです。

Ansibleに馴染みがない方は、まずAIに「Ansibleって何ですか?私のユースケース(ユーザー作成の自動化)に使えますか?」と壁打ちするところから始めるのが最も効率的です。

💡 練習環境をお探しの方へ:スクリプトの動作確認には、実際のLinux環境が必要です。ITスキルを維持し続けるには手を動かす練習環境が欠かせません。さくらインターネットは数分で起動・データ転送料無料・国産サポートと、コストと手軽さを両立した理想の練習場です。

まとめ:「設計できる人」が、これからの現場で生き残る

3つの防衛型スクリプトをまとめます。

  • ①Diff自動保存スクリプト → 責任の境界線を「エビデンス」で自動化
  • ②障害一次切り分けスクリプト → 感情的な場面での発言を「事実報告」に置き換える
  • ③定型作業のセルフサービス化 → 「断る」ではなく「仕組みで解決」する

21年のインフラエンジニア経験から言えることが一つあります。コードを書けるかどうかより、「何を自動化すべきかを設計できるか」の方が、長く現場で必要とされる力です。

AIはその設計を実装するための「最強の相棒」になりました。今日から、AIを開いて「自分の仕事を一つ消し去るスクリプト」の相談を始めてみませんか?

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