日曜の夜、画面に踊る文字を見て
「大河ドラマの題字は、いわばその物語の『顔』です。 2026年『豊臣兄弟!』。その文字を目にしたとき、私はかつてのあの力強い題字を思い出さずにはいられませんでした。武田双雲氏が手掛けた『天地人』。 今日は長年書道に関わった私の視点から、この対照的な二つの『顔』を紐解いてみたいと思います。」
視点1:『豊臣兄弟!』— 誰もが入り込める親しみやすさ
「今年の題字は、あえて『書道家が書く線』を遠ざけているように見えます。 目に飛び込んでくるのは、私たちが普段の生活で見慣れているような、現代的でポップなライン。
- 狙い: お茶の間が構えずに見られる、明るく軽快なイメージ。
- 私の眼: 格式や伝統よりも、まずは番組に興味を持ってほしいという『親しみやすさ』を最優先した結果でしょう。現代のデザインとしての正解がここにあります。」
視点2:『天地人』— 遠慮と執念の末に辿り着いた、重厚な隷書
「対して、武田双雲氏の『天地人』。あれはまさに、命を削るような作業の結晶でした。 双雲氏は当時、何度も何度も書き直し、捨て、また書く……という苦闘を繰り返したと思います。
- 線の正体: 伝統的な隷書の骨格を持ちながら、どこか『遠慮』を孕んだ慎重な運筆。しかし、その先に待っていたのは、すべてを書ききった者にしか出せない圧倒的な迫力でした。
- 私の眼: あの地を這うような力強い線は、一発勝負のデザインでは決して到達できない、書の『執念』そのものです。」
皆さんは、どちらの「顔」が好きですか?
「どちらが正解、というわけではありません。 時代に合わせて親しみやすさを選ぶか、それとも書の歴史を背負った圧倒的な重厚さを選ぶか。
スーパーで買い物カゴを下げながら缶の『山崎』の文字に惚れ込む私ですが、皆さんは大河のオープニングでどちらの文字に出会いたいですか?