「あの人の書く字、なんだか好きだな」 職場の同僚やお世話になった方の手書きの文字に、思わず見惚れてしまうことはありませんか?実は、日本習字の創始者・原田観峰先生は「自分が好きだと思える字は、すでに最高のお手本である」と語られています。 今回は、観峰先生が説いた「お手本の選び方」と、私たちが日々向き合う「書」への誇りについてお話ししたいと思います。
1. 原田観峰先生が語る「良いお手本」の条件
観峰先生は、お手本を選ぶ大切な基準として以下の4点を挙げられています。
- 癖のない字であること: 誰が見ても美しく、基準となる形。
- 運筆が明瞭で、複雑でないこと: 筆の運びが明らかで、学びやすいもの。
- 正しい書法で書かれていること: 歴史的な裏付けのある、正統な書き方。
- 品位が高いこと: 文字そのものから気品が感じられること。
日本習字の教室で私たちが手にしているお手本には、このすべての条件が凝縮されています。まずは自分の手元にあるお手本に、絶対の自信を持って良いのです。
2. 伝統的なルーツと「親近感」の理由
展覧会などで見かける、字なのか絵なのか分からないような前衛的な作品。観峰先生は、あれは「芸術としての個人的な趣味」の世界であり、私たちが無理にその方向に傾く必要はないと説かれました。
日本習字の書は、唐時代の名書『孔子廟堂の碑(こうしびょうどうのひ)』を観峰先生がアレンジしたものです。だからこそ、私たちが古典に触れたときに感じる「書きやすさ」や「親近感」は、正しいルーツを辿っている証拠。躍動感あふれる観峰先生の字を信じて、真っ直ぐに学んでいきましょう。
3. 評価をいただいた時の「喜びの作法」
熱心に練習を続けていると、外の展覧会などで表彰されるような機会に恵まれることもあるかもしれません。そんな時、芸術書道をされている方との間で少し気まずい思いをすることもあるでしょう。
もし喜びを語る場があったら、こんな言葉を選んでみてはいかがでしょうか。
「私のようなものが、このような素晴らしい賞をいただき恐縮です。ご指導くださった先生方、支えてくれた周囲の方々への感謝を忘れず、精進してまいります」
このように、お世話になった方への感謝を伝える。それは周囲との調和を保つだけでなく、自分自身の「書」の品位を高めることにも繋がるはずです。
自分のお手本に自信を持って
仕事で合格点が取れるよう頑張る毎日の中で、観峰先生の躍動感ある字に向き合う時間は、私にとって大切なリフレッシュの時間です。
「他人の3倍努力しろ」という父の言葉を胸に、今日もペンを持ちます。 日本習字で学ぶ皆さんも、ご自分のお手本に自信を持ってください。私たちが学んでいるのは、時代を超えて通用する「正統な美しさ」なのですから

