書道の作品を仕上げる最後の仕事が、印を押すことです。私は書道展に作品を出すとき、印を押していました。
字を書き終えて、書道展に出す作品をどれにするか決めてから印を押します。ところが、この印押しが、意外に緊張します。
作品に押す印は、役割ごとに種類がある
書道の作品に押す印には、種類があります。
作品の右上に押して、作品の始まりを示す印を、引首印(いんしゅいん)といいます。関防印と呼ばれることもあります。
書いた名前の下に押すのが、落款印です。落款印は、作品が完成したことを示す印です。落款印には、作者の氏名を刻んだ姓名印と、本名以外に名乗る名前(雅号)を刻んだ雅号印があります。
私は、姓名印、雅号印、引首印を使います。
印の大きさは「分(ぶ)」で表す。姓名印と雅号印は7分
印には、大きさがあります。大きさは「分」という単位で表し、7分、8分などの種類があります。
私が使っている姓名印と雅号印は、どちらも7分です。7分は汎用的に使える大きさで、理由は、半切に押すときに、ちょうどいいからです。
半切は、全紙を縦半分に切った大きさの紙です。画仙紙の半切は、35cm×136cmほどです。
1分は約3mmなので、7分は約21mmです。落款印は、18mmから24mmくらいが人気のサイズといわれているので、7分はよく選ばれる大きさの範囲に入っています。
印は、作品の大きさや内容によって、使い分けることもあります。書を趣味にしていた政治家の若槻禮次郎も、印を押す作品の大きさや内容に合わせて、複数の印章を使い分けていました。
印泥は、こねて平にしてから使う
印を押す前に、印泥(いんでい)を準備します。
印泥は、こねて、表面を平らにしておきます。そこへ、印を少しずつつけていきます。3回くらいつけて、押せる状態にします。
赤がつきすぎたときの調整は難しい
印の赤色が、つきすぎてしまうことがあります。そのときは、調整をします。私の場合、調整だけで2回かかることもあります。
この調整が、なかなか難しいです。つけすぎると、線がつぶれてしまいます。少なすぎると、かすれてしまいます。ちょうどいい量は、毎回少しずつ違います。
印は、何回も練習しないと押せなくなる
印は、何回も練習しないと、うまく押せません。
字は毎週書いていても、印は押す回数が少ないので、久しぶりに押すと感覚を忘れています。本番の前に、練習で何度か押しておくのがおすすめです。また、印押しで失敗して作品が台無しになることもあります。
その時の対策として、もう1作品予備があると安心できます。
位置決めは、セロハンテープで「型」を作る
印を押す位置は、作品の仕上がりに大きく影響します。位置を決めるために、私は次の準備をします。
- 半紙に、印を押す
- 押した印の裏に、セロハンテープをつける
- 作品の紙にくっつけて、位置を見る
これを、姓名印、雅号印、引首印の3つ分、2セットくらい準備します。書道展に出す作品に印を押すときは、この型を持っていきます。
作品に押す前に、印の位置を目で見て確認できるので、安心して押せます。
昔から、印を押す位置を固定するための「印矩(いんく)」という道具があります。私のセロハンテープは、手作りの印矩のようなものです。
洋服に赤がつくと、洗濯しても落ちない
印泥の赤色は、洋服につくと、洗濯しても落ちません。
そのため、私は印を押すときに、エプロンを着ています。袖や服の前が、印泥や印に触れても、洋服を守れます。印を押すときの、いちばんの対策です。
まとめ
- 印には、引首印、姓名印、雅号印などがある
- 姓名印と雅号印は7分。半切に押すときにちょうどいいので、汎用的に使える
- 書道展に出すときや、日本習字のたなばた競書大会のときに、印を押すことがある
- 印泥は、こねて平にして、印を少しずつつける
- 赤がつきすぎたときの調整は、2回かかることもあり、難しい
- 印は、何回も練習しないと押せなくなる
- 半紙に押した印の裏にテープをつけ、作品の紙にくっつけて位置を見る
- 型は、印ごとに2セットくらい準備して持っていく
- 洋服に赤がつくと洗濯しても落ちないので、エプロンを着て押す
印は小さいですが、作品の最後を決める大切なものです。落ち着いて、練習しながら押してください。
