ITインフラの世界でも、書道の世界でも、共通して言える大切なことがあります。それは、「見えない場所に蓄積されたものに、どう向き合うか」ということです。
先日、Rocky Linux上に構築した検証環境で起きた「ディスク満杯」のトラブルから、書道の筆の洗い方について改めて考えてみました。
1. 「Filesystem full」という名の蓄積
検証環境を動かしていたところ、コマンド一つまともに受け付けない「Filesystem full(ディスク容量がいっぱい)」という事態に直面しました。
原因は、長い運用の中で少しずつ溜まり続けたデータ。システムが息継ぎできなくなるほどパンパンになっていたところを、上司が直接操作して「掃除」をしてくれたことで、ようやく正常に戻りました。
この時、私の頭に浮かんだのは、お稽古で使う「筆」のことでした。
2. 筆の根元に宿る「歴史」と「重み」
書道の筆も、表面を洗うだけでは不十分です。 長い間大切に使っていると、どうしても根元の奥深くに墨が少しずつ残ります。それが固まると、筆の毛先が割れたりして、思い通りの線が書けなくなってしまいます。
これはITの世界で、長年業務を支え続けてきたシステムが、OSのバージョンアップや環境の変化によって、今の時代には少し「重く」なってしまう現象と似ている気がします。
かつての開発者が心血を注いで作ったコードも、時代の流れとともにメンテナンスが難しくなったり、移行に莫大なコストがかかったりすることがあります。それは誰のせいでもなく、「システムが刻んできた歴史そのもの」なのです。
3. 「根元を洗う」という敬意
筆のメンテナンスで最も大切なのは、「根元の墨を丁寧に、根気よく洗い出すこと」です。
- 指の腹で根元を優しく揉み出し、奥で固まった墨(歴史)を少しずつ解きほぐす。
- 水が透明になるまで、何度も向き合う。
この作業は、過去のエンジニアが残してくれた仕組みを紐解き、今の環境に馴染むように調整していく作業に似ています。派手さはありませんが、過去への敬意を持って「整える」プロセスがあってこそ、次の一画(新しいシステム)を力強く、美しく書くことができるのです。
4. プロフェッショナルな「道具」との付き合い方
2026年1月に入社し、試用期間を終えようとしている今、私は改めて「基本のメンテナンス」の重要性を噛み締めています。
上司がサーバーの空き容量を作ってくれたように、私も自分の道具——PCの設定、知識、そして書道の筆——を、常に健やかな状態に保っておきたい。
日々の「検定課題」のような実直な仕事の中で、過去から引き継いだものを大切にしながら、今の自分にできる「丁寧なお手入れ」を積み重ねていく。それが、2年後にお客様から「頼りになる」と言っていただけるエンジニアへの道だと信じています。
次の一画に、濁りを持たせない。
ディスクに余裕ができたり、筆の根元が軽くなったりすると、不思議と心に「余白」が戻ってきます。
今夜は温かい紅茶を飲みながら、愛用の筆を丁寧に洗い直しました。 詰まっていたものが取れて、達成感を感じる瞬間。
明日の仕事でも、濁りのない澄んだ気持ちで、正確な一歩を積み重ねていこうと思います。
