夜と昼の寒暖差が激しいので、服装に迷いますが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか。
季節が冬らしくないので、せめて紙の上だけでも冬を味わってみませんか?
書道では、季節の言葉を書くと、それだけで作品に気持ちが入ります。ただ、いざ書こうとすると、「どの言葉にしよう」と迷いませんか。
そこで今回は、時候の挨拶と、季節を細かく分けた七十二候(しちじゅうにこう)の中から、冬に書きたい言葉を選びました。
時候の挨拶と七十二候とは
時候の挨拶は、手紙の冒頭に書く季節のあいさつです。「初冬の候」「霜寒の候」のように、その時期にぴったりの言葉が決まっています。
七十二候は、1年を約5日ごとに72に分けた、昔の暦の言葉です。「北風が木の葉を払う」のように、季節の変わり目を短い文で表しています。
どちらも、書道の題材にぴったりです。
まずは2〜3文字。冬に書きたい言葉
| 時期 | 言葉 | 読み | 見どころ |
|---|---|---|---|
| 11月 | 初冬 | しょとう | 「冬」の2つの点が見せ場 |
| 11月 | 向寒 | こうかん | 「寒」の2つの点が見せ場 |
| 11月 | 初雪 | はつゆき | 行書で書きたい。5〜8画目がポイント |
| 12月 | 冬至 | とうじ | 1年でいちばん昼が短い日 |
| 12月 | 霜夜 | しもよ | 霜が降りるほど冷える夜 |
| 12月 | 歳晩 | さいばん | 年の暮れ |
| 1月 | 初春 | はつはる | 隷書で書きたい。「春」の3画目が見せ場 |
| 1〜2月 | 厳寒、大寒、立春 | げんかん、だいかん、りっしゅん | 季節の節目の言葉 |
11月:冬の入り口の言葉
初冬と向寒は、「冬」と「寒」の点が見せ場です。どちらも点が2つありますが、一つとして同じ点はありません。「点が書ければ一人前」と言われるほど、実は難しい画です。
初雪は、ぜひ行書で書いてみてください。ポイントは「雪」の5〜8画目です。ひらがなの「れ」のように、続けて書く字になります。
12月:年の暮れに向かう言葉
冬至は、1年でいちばん昼が短い日です。季節がはっきりしているので、書いたあとにブログで話題にしやすい言葉です。
霜夜は、霜が降りるほど冷える夜のことです。
歳晩は、年の暮れのことです。
1〜2月:新しい年と、寒さの底
初春は、ぜひ隷書で書いてみてください。「春」の3画目が、隷書らしいはたく(波磔)になり、見せ場です。
隷書は、横に平たい扁平な形が特徴で、横画は水平に書きます。ふだん書いている字は、つい右上がりになりがちです。半紙を裏返して見ると、右上がりになっていないかが分かります。裏返しても、水平で扁平に書けているでしょうか。私も挑戦してみます。
厳寒・大寒・立春は、寒さの底から春へ向かう、季節の節目の言葉です。
次は4字以上。作品にしたい七十二候
慣れてきたら、七十二候の言葉もおすすめです。字数が増えるので、行の流れや余白まで考える練習になります。
朔風払葉(きたかぜこのはをはらう)
11月下旬ごろの言葉です。北風が木の葉を払い落とす様子を表しています。動きのある字になるので、筆の勢いを出したい方に向いています。
閉塞成冬(そらさむくふゆとなる)
12月上旬ごろの言葉です。「閉塞」という重い字面は、墨の濃淡で表現するのに向いています。
雪下出麦(ゆきくだりてむぎのびる)
12月下旬ごろの言葉です。雪の下で、麦が芽を出す様子を表しています。冬の言葉ですが、希望を感じる一句です。
款冬華(ふきのはなさく)
1月下旬ごろの言葉です。まだ寒い中で、ふきのとうが顔を出す頃を表しています。「冬」の字が入っていながら、春の気配があります。
どの言葉を書こうか迷ったら
私のおすすめは、今の季節に合う言葉を選ぶことです。11月は「初冬」「向寒」、12月は「冬至」、1月は「大寒」と、季節に合わせて書き進めると、1年の移り変わりを感じられます。
書き終わった作品を見返すと、「この頃は寒かったな」と思い出せるのも楽しみのひとつです。ぜひ、お好きな言葉を一つ選んで、書いてみてください。