書道教室に通うのは、大人よりも圧倒的に子供たちが多いです。 真っ白な半紙に向かい、何度も同じ言葉を繰り返し書く時間。その時、子供たちの目と心には、どんな言葉が映っているのでしょうか。
35年筆を持ち続けてきた私が今、改めて感じる「お手本」に込められた深い愛情についてお話しします。
お手本を書いていて「気持ち悪くなる言葉」を書いてはいけない
書道は、一度書いたら終わりではありません。 お手本をじっくりと観察し、筆先を動かし、型を体にしみこませる作業です。
もし、その言葉選びが不適切だったらどうでしょう。 型を体に刻み込む過程で、気持ちが沈んだり、ふさぎ込んだりするような言葉を、多感な時期の子供たちに書かせてはいけない。日本習字の創立者である原田観峰先生のお手本を拝見していると、その「言葉選び」への並々ならぬ気遣いに気づかされます。
「明るく、正しく、美しく」心に響く言葉の力
観峰先生が選ばれる言葉は、常に子供たちの未来を明るく照らすようなものばかりでした。
- 希望、勇気、努力
- 自然の美しさを愛でる言葉
- 感謝や思いやりを感じる言葉
これらを繰り返し練習し、型として体得していくことで、子供たちは字の上達と同時に、その言葉が持つ「ポジティブなエネルギー」を無意識のうちに吸収していきます。
エンジニアの世界でも、優れたプログラムには「美しさ」と「整合性」がありますが、書道のお手本もまた、「心の栄養」としての整合性が保たれています。
35年を経て気づいた、プロフェッショナルの優しさ
ITに乏しい人や初心者が、中身のロジック(なぜこの筆がいいのか、なぜこの字形なのか)を完全に理解するのは難しいことです。 だからこそ、彼らは「この先生の言葉なら信じられる」「この教室なら安心できる」という人間性や配慮で判断します。
観峰先生が言葉一つひとつに心を配ってくださっていたのは、技術を教える以前に、生徒一人ひとりとの「信頼」を築こうとされていたからではないでしょうか。
筆跡に宿るのは、言葉の記憶
子供たちが大人になったとき、ふと思い出すのは、先生に褒められた記憶と共に、あの日何度も型として体に刻んだ「前向きな言葉」であってほしいです
👍日本習字公式サイト

