今日は一日、コンピューターの設定と格闘していました。
システムがうまく連携してくれず、原因を探しては試し、失敗しては書き直し……。 デジタルの世界は、どこか迷路に似ています。 間違えても「一つ前に戻る」ことができるし、正解にたどり着くまで何度でもやり直すことができる。
それはとても便利なことだけれど、ずっとその迷路の中にいると、いつの間にか思考がトゲトゲして、心まで「0と1」の無機質な世界に染まっていくような感覚になることがあります。
ようやくトラブルが解決し、複雑な設定のパズルがピタリとはまりました。
墨の香りに、心を委ねる
ここからは、私が一番大切にしている「やり直しのきかない」時間です。
筆にたっぷり墨を含ませ、半紙の上に最初の一点を打つ。 その瞬間、デジタルの世界で繰り返してきた「Ctrl+Z(元に戻す)」という言葉は、私の頭から完全に消え去ります。
一度紙に下ろした筆は、もう二度と「なかったこと」にはできません。 墨がじわりと紙ににじみ、筆の先から自分の呼吸が伝わっていく。 その緊張感は、不思議と私を縛るものではなく、むしろ迷路で散らばった心を一箇所にギュッと集めてくれるような、心地よい重さを持っています。
自由と、潔さと
何度でも書き直して、最適解を積み上げていく「設定」の仕事。 たった一度きりの線に、今の自分のすべてを乗せる「書道」の時間。
この二つを行ったり来たりすることで、私の心はバランスを保っているようです。
「便利で自由な世界」に疲れたとき、あえて「不自由で潔い世界」に身を置く。 墨の香りを深く吸い込むと、今日一日頑張った自分に「お疲れ様」と素直に言える気がしました。
