ITエンジニアとして仕事をしていると、時として大きな決断を迫られる瞬間があります。 それは、「技術的に何とかして動かすこと」が、必ずしも「お客様にとっての正解ではない」と気づいた時です。
今日は、私が直面した「技術と誠実さ」の葛藤についてお話しします。
1. 進化し続けるOSと、置いていかれるシステム
サーバーの世界を支えるOS「Linux」は、日々安全性を高めるためにアップデートを繰り返しています。一方で、長年お客様の業務を支えてきた「ジョブ管理システム」の中には、古い仕様のまま止まっているものもあります。
今回、その「最新の土台」の上に「古いシステム」を実装するミッションに挑みました。
2. 「当たり前」の壁。通信を守る「SSH」の不一致
現代の通信において、情報を暗号化して守る「SSH」という仕組みは、いわば情報の金庫のようなものです。 最新のOSは、より強力で頑丈な金庫を求めます。しかし、古いシステムが持っている鍵では、その金庫を開けることができない。いわば、最新のセキュリティ規格と、古い仕様がどうしても噛み合わない状態でした。
3. 私が「頑張る」のをやめた理由
エンジニアとして、無理やり古い鍵を加工して、最新の金庫をこじ開けるような設定を作ることも、理論上は可能かもしれません。
しかし、私の心の中にあったのは、「お客様への親切心と誠実さ」でした。
- 「もし、無理に繋いで将来的にデータが漏洩したら?」
- 「もし、システムが不安定になってお客様の業務が止まったら?」
無理に実装することは、エンジニアとしての自己満足にはなっても、お客様の「安心」には繋がりません。「今だけ動けばいい」という考えは、プロとしての誠実さに欠けると判断したのです。
4. 未来を創るための、新しい提案
私はありのままをお客様にお伝えしました。 今の仕組みに固執するリスク、そして、新しい仕様に完全対応した「次世代のジョブ管理システム」へ移行することのメリット。
それは、単なる「できない」という報告ではなく、「お客様の大切な資産と未来を守るための、最善の道」としての提案でした。
幸い、お客様はその想いを汲み取ってくださいました。 「無理に動かして不安を抱えるより、新しい安全な仕組みでスタートしましょう」と。
【喜んでもらえるのが一番】
書道でも、自分だけで「うまく書けた!」と満足するより、それを見てくれた人が「あぁ、いい字だね」と喜んでくれる瞬間が、一番やりがいを感じます。
ITの世界も、実は同じです。 最新の技術を使って無理やり動かすよりも、「どうすればお客様が、明日からもっと安心して、楽に仕事ができるかな?」と考える。その結果、新しいシステムを提案することが、お客様にとって一番の「喜び」に繋がると思ったんです。
難しい専門用語を並べるより、正直に「これは今のままだと危ないですよ」とお伝えすること。そして、もっといい未来を一緒に考えること。
結局、筆を持ってもキーボードを叩いても、「目の前の人に喜んでほしい」という気持ちは、何も変わりませんね。
さて、今夜はもう難しい話はおしまい! 美味しいワインを飲んで、明日からまた「喜ばれる仕事」ができるように、しっかりリフレッシュしたいと思います。
