二つのトレース — パケットの行方と筆の軌跡

今日は一日、デジタルの迷宮に迷い込んでいました。 新しいジョブ管理システムの設定。テストを流せばジョブは動くものの、肝心の結果ファイルが届かない。「SCP転送失敗」の文字を前に、ひたすら原因を探る「トレース」の作業に没頭していました。

パケットがどこで止まっているのか、認証の壁に阻まれているのか。一行ずつログを追いかける時間は、まるで出口のないトンネルを歩いているようです。

そんな脳の疲れを抱えたまま、夜、机に向かって筆を持ちました。 そしてふと、「書道もまた、トレースの連続だな」と思ったのです。

ログを追う、筆跡を追う

書道には「臨書(りんしょ)」という、古典の筆跡を真似て書く稽古があります。 これはまさに、数百年、数千年前の先人の筆の動きを「トレース」する作業です。

  • パケットのトレースは、どこでエラーが起きたかという「正解」を見つけるための、論理的な追跡。
  • 筆跡のトレースは、先人がどう筆を入れ、どこで力を抜き、どんな呼吸で書いたかという「意図」を感じ取るための、感性の追跡。

画面上のエラーログと、紙の上の墨跡。 対象は全く違いますが、「表面に見えない流れを追いかける」という点では、私の頭の中の同じスイッチが反応しているのかもしれません。

通らないジョブ、通りたい筆

結局、今日のSCPの設定は最後まで「疎通」してくれませんでした。 設定を一つ変えては試し、また弾かれる。そんなもどかしさを抱えたまま、今日は「通」という文字を書きました。

デジタルの世界では「1」か「0」か、成功か失敗か。 でも、書道の世界では、思い通りにいかない「掠れ」や「震え」さえも、その時の自分の写し鏡として、一つの表現になります。

「設定が終わらない」という焦りも、筆に乗せてしまえば、少しだけ心が軽くなるから不思議です。

明日の朝には、今日追いかけたパケットのトレースが、ふとしたきっかけで繋がることを願って。 今夜は墨の香りに包まれて、ゆっくりと脳を休めたいと思います。

皆さんも、一日の終わりにはデジタルから離れた「トレース」の時間、いかがですか?

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