📅 この記事は2026年9月時点の情報をもとに執筆しています。AIの技術は急速に進化しており、状況が変わっている可能性があります。最新情報は各公式サイトをご確認ください。
以前、「会社のデータをChatGPTに入れるのは不安」という方へ、ローカルAIの7つの課題という記事を書きました。GPUがないと遅い、コマンド操作が必要、AIが嘘をつくことがある——正直に、厳しい現実をお伝えする内容でした。
あれから2026年7月、実際に、お金をかけずに、この課題と向き合ってみようと決めました。土日祝日を除いて、コツコツと手を動かし続けて、気づけば2ヶ月が経っていました。今回は、その記録です。
高いパソコンは、まだ買わなくていい
前回、「専用の高性能なパソコンがないと、AIの返事が異常に遅い」という課題をお伝えしました。真っ先に浮かぶのは「専用のパソコンを買う」という選択肢ですが、いきなり数十万円の買い物をするのは、正直、怖いです。
そこで、パソコンの性能を、必要な時間だけ、インターネット経由で借りられるサービスを使いました。1時間あたり数十円で、業務に十分な性能を借りられます。数時間の検証なら、コーヒー1杯分程度の値段で済みました。
つまずいた点:借りる場所(サーバーがある地域)を「日本」に指定すると、混み合っていて借りられないことが、何度もありました。「空いている場所ならどこでもいい」という設定に変えたら、ようやく借りられました。
「きれいな画面」を、2回、諦めた
前回、「コマンド操作(黒い画面に文字を打ち込む操作)が必要で、専門知識がないと難しい」という課題もお伝えしました。最初は、ChatGPTのような、見やすい対話画面を、便利な既製ツールで用意しようとしました。
でも、借りた環境の制約で、そのツールが、何度試しても、うまく動きませんでした。別の、もっとシンプルなツールでも試しましたが、やはり同じ結果でした。
これで、「ツールが悪いのではなく、借りた環境そのものに、制約がある」ことがはっきりしました。見た目のきれいな画面を用意することは、今回は諦めることにしました。
見た目を諦めたら、意外とシンプルに動いた
きれいな画面の代わりに、もっと基本的な仕組みを、地道に組み立てることにしました。社内の資料を読み込ませて、質問に答えてもらう、という一連の流れです。
専門的な大掛かりな道具を使わなくても、比較的シンプルな方法で、実現できました。実際に「なぜ、その答えなの?」と聞くと、AIは、参考にした文章を、きちんと示した上で、答えてくれました。「なんとなくそれっぽい答え」ではなく、「どの情報をもとにしたか」が、はっきりわかる形にできたのは、大きな収穫でした。ただ、AIに渡す社内のメモや資料が乱雑だと、正しく読み取ってくれません。「AIを使う前に、まず社内資料やExcelの表記を綺麗に整えておくこと」が、実は一番大切だと身をもって実感しました。これは前回の記事でも触れた話題ですが、実際に動かしてみて改めて感じました。
ブラウザだけで使える画面も、後日、追加できた
最初の仕組みが動くようになった数日後、今度は、ブラウザから使える、簡単な画面を追加しました。社員が普段使うブラウザで、質問を入力するだけで使える状態です。
「コマンド操作が必要」という課題は、まだ完全には解決していませんが、少なくとも、使う人(質問する側)は、コマンド操作を知らなくても、使えるようになりました。
情報を守るための対策も、実際に確認した
氏名・住所・購入商品を含む、個人情報を想定したテストデータで、次の3点を確認しました。
- ログイン機能:ID・パスワードを知らない人は、中身を見られないことを確認しました
- 通信の暗号化:やり取りが盗み見られないよう、保護されていることを確認しました
- 記録の残し方:「誰が・いつ使ったか」は記録されますが、「何を質問したか」という中身は、記録に残らない設計にできることも、確認できました
それでも、残っている課題
- コマンド操作は、まだ必要です。専門知識がない方が、この検証を、自力で再現するのは、まだ難しいと思います
- 「型番」や「日付」のような、正確な情報の検索は、まだ苦手です。「なんとなくのニュアンス」を拾うのは得意ですが、完全に一致する情報を探すのは、精度に課題が残っています
- 資料を後から追加・更新する仕組みは、設計はしたものの、まだ実際の動作確認はこれからです
- 実際の会社のサーバーへ移す作業も、まだ試せていません。今回借りた環境で自動化されていた部分(通信の暗号化など)を、自分たちで設定し直す作業が、これから必要です
かかった費用
2ヶ月間の検証にかかった費用は、1日2時間程度の利用ペースで、合計、約9,270円でした。本番で運用する場合は、稼働時間や、借りる性能のグレードによって、費用は変わります。
小さく試して、壁にぶつかりながら、少しずつ前に進む
「社内でAIを使いたい」と考えたとき、つい、大きな予算や、完璧な計画を、最初から用意しようとしてしまいがちです。
でも、実際にやってみると、想定通りにいかないことの連続でした。借りる場所が見つからない、便利なツールが動かない、通信の出入り口が足りない——壁にぶつかるたびに、別の方法を探し、少しずつ前に進みました。
2ヶ月かけて、コマンド操作という壁は残ったままですが、「パソコンの性能がなくて遅い」という課題も、「きれいな画面が作れない」という課題も、「AIが嘘をつく」ことへの対策も、実際に手を動かして、確かな手応えとして掴むことができました。
前回の記事で挙げた課題は、まだ全部は解決していません。それでも、「まず小さく試してみる」という一歩を、地道に積み重ねてきた記録として、残しておきます。
