正月三が日にいったら、ドンでもない量の参拝客がきてるだろうと予測して、一週間ずらしてようやく新年のご挨拶に神田明神へ参拝に行ってきました。
秋葉原という日本を代表するITの街の中にあり、技術と隣り合わせのこの場所。しかし、その足元にある境内は、テクノロジーとは真逆の、凄まじい「人間の熱気」に包まれていました。
賽銭箱へ続く列は、もはや肩をぶつけないことなんて不可能なほどの密集地帯。 「参拝の方はこちらに並んでください!最後尾です!」という警備員さんの張り裂けんばかりの声。 それにかき消されまいとする、参拝客たちの元気なしゃべり声や笑い声。
後ろの人にグイグイと突かれ、物理的な圧力をひしひしと感じながら、私はこのカオスな状況に昨年のIT業界の激震を重ねていました。
街の鼓動の裏側で起きた「大事故」たち
この賑やかな街の景色とは裏腹に、昨年は本当に冷や汗をかく出来事が続きました。
- 10月のAWS大規模障害:私自身の担当外ではありましたが、だからこそ一歩引いた視点でその影響力の大きさを痛感しました。街中の便利なサービスが瞬時に止まり、インフラの脆さを突きつけられたあの日。もし自分の担当だったら……と想像するだけで、この喧騒の中でも血の気が引く思いでした。
- AI悪用の中高生3人逮捕:生成AIを駆使した不正アクセスのニュース。この街のどこにでもいるような若者が、AIという武器で牙を剥く時代の到来。
- 証券口座の乗っ取り多発:金融庁が注意喚起を出す事態に。見えない脅威が、この賑やかな街のすぐ隣まで忍び寄っていました。
普段は「開発チームが作ったアプリを予定通り動かすこと」が最優先。セキュリティなんて「前提条件」として流しがちですが、この密集した街の中で揉みくちゃにされていると、その「当たり前」を維持することの重みが身に沁みます。
2026年:AIに「どこまで」任せるか
2025年5月に「能動的サイバー防御法案」が成立し、今年は施行に向けて現場も動き出す年。ようやく、守りの要であるエンジニアに本格的な光が当たる土壌が整ってきました。
そして、この街に溢れるAIもいよいよ「一般化」のフェーズへ。 これからの私たちの仕事は、AIをただ使うことではなく、「AIにどこまで任せるか」という選択と実装のフェーズに入ります。
私自身の具体的な「実装」の第一歩としては、英語マニュアルの翻訳をNotebookLMに任せることから始めてみようと考えています。 膨大なドキュメントの読み込みはAIに任せ、安定稼働のための戦略的な仕事に時間を使う。警備員さんが群衆を捌くように、私もAIと人間の役割を適切に捌いていきたいものです。
結局、最後は「安定稼働」を願う
ようやく賽銭箱の前にたどり着き、後ろからの圧力に負けじと踏ん張って手を合わせる数秒間。祈ったのは、大層な技術革新の話ではなく、結局これでした。
「今年も、この街のすべてのインフラが、どうか健やかに安定稼働してくれますように」
すべてのITインフラは、この賑やかな街の中で人々の暮らしと密接に繋がっている。 警備員さんの叫び声と参拝客の喧騒を背に、揉みくちゃにされて境内を後にしましたが、お守りを握りしめると少しだけ覚悟が決まりました。
2026年。また次々と新しい課題が降ってくるでしょうが、まずは目の前のインフラを淡々と、確実に支えていこうと思います。
後ろから突かれるのは、もうお参りの時だけで十分ですからね。

